霧矢あおいの日々シネマ

女優・霧矢あおいの映画ライフ

CURE

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「CURE」

1997年/脚本・監督 黒沢清


何も起きない平穏な場所で生きていると遠ざかっていく死への恐怖。でももしかしたら隣人が殺人鬼かもしれない。そして自分も…。


そんな恐怖の中に閉じ込めてくれるのがこの映画。


閉塞感を描かせたらピカイチの監督だから恐怖の中に観客を「閉じ込める」のはお手の物。


向こうが見えそうで見えない曇りガラス、風になびく廃墟のビニール、軽快だけど怖いカメラワーク、そして役所広司のクドい演技…。

これら全てが詰まった黒沢ホラーの真骨頂とも言える作品ね。



CUREの意味は救済。

救済という言葉は90年代には様々なところで見られた言葉。

オウムのサリン事件の前年に公開された作品だけど、タイトルもあって事件後に一躍有名になったわ。


その時はまだ生まれてなかったけど、不安の外にいた人たちに与えたショックは相当なものだったはず。


今はみんなが当たり前のように不安を抱える時代だけど、本当に怖いホラーは今見てもやっぱり怖いわ。