勝手にしやがれ
ジャン・リュック・ゴダール監督、フランソワ・トリュフォー原案のフランス映画。
モノクロの作品で、初期のヌーベルバーグを代表する作品よ。
ボギーに憧れるけどどこか情けないフランス人の青年・ミシェルと、奔放なアメリカ人の女の子・パトリシアの恋のお話。
盗んだ車を転売してその日暮らしの生活をしているミシェルは、マルセイユで盗難車を運転しているところを追いかけてきた警官を射殺してしまう。
ミシェルはひとまずパリへ逃亡し、貸しになっていた金を得ようとするが、現金で受け取るにはベリユッティという男に会わねばならないことになる。
ベリユッティを探しつつ、南仏で恋に落ちたパトリシアに会い、一緒にイタリアへ逃げようと持ち掛ける。
パトリシアはミシェルに殺人の容疑をかけられていることを知っても、彼と気ままにデートを重ね、逃亡にも乗り気でついてくる。しかし、途中で心変わりをしたパトリシアは彼の居所を警察に密告してしまう。
マニアックなイメージの強いゴダールだけど、その中でも知名度の高い作品よ。
ヒロインのパトリシアはこの映画を知らなくても雑誌で見たことがある人もいるのでは?
女性らしさと潔さの絶妙なバランスのファッションが個性的でとってもオシャレでかわいい。パリの街並みを颯爽と歩く姿に憧れちゃうわね。
ヌーベルバーグの特徴とも言える街中でのゲリラ撮影で、当時のリアルなパリの風景が見られるのも貴重。たくさんのクラシックカーが並んだ街を私も歩いてみたかった!
恋に暴力に逃走劇と、結構いろいろなことが起こるにも関わらず、全編にひっそりとした退屈さのある不思議な作品。
冒頭、カメラ目線のミシェルから飛びだす謎のパンチライン、
「海が嫌いなら、山が嫌いなら、街が嫌いなら、勝手にしやがれ!」
わかるようなわからないような言葉だけど、これが結局すべてを説明しているのかもしれないような気もする。
パトリシアが最も望む、自由を得るとセットでついてくる退屈。そしてその退屈を手放すために人は恋をしてまた不自由を得る。
自由に縛られるくらいなら、恋をしていたほうがまだまし。
ミシェルに乾杯!